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【ブログ】外国人起業の壁を越えるための関わり ― キャリアコンサルタントの視点から ―

 

■ 起業相談は重いテーマ?

今日の英語ロールプレイ会のテーマは「起業相談」でした。このテーマを選んだのは、実際にキャリア相談でこの種の相談が一定数あるからです。最近専門家を招いて外国人の起業に関するセミナーを開いたばかりでした。

最近は制度改正と運用の厳格化により、経営・管理ビザの取得要件は一段と高くなっています。2025年10月16日からは、資本金・出資総額の基準が従来の500万円以上から3,000万円以上へと引き上げられ、さらに常勤職員1人以上の雇用、一定の経歴または学歴、日本語能力も求められるようになりました。そのため、起業を目指していても、現実のハードルの高さに直面して断念する人が少なくありません。一方で、永住権などの在留資格を持っている場合は、こうした制約が大きく変わることもあり、まず「どのビザを持っているのか」を確認することが非常に重要になります。

■ 起業を目指す人の「強さ」と「脆さ」

起業を目指す人には、共通して強い思いや志があります。「これを実現したい」「社会にこういう価値を提供したい」というエネルギーは、周囲を変えるほどの力を持っていることもあります。しかし同時に、その存在はとても「脆い」ものでもあります。起業には楽しさややりがいがある一方で、さまざまな不安も伴います。安定した収入を失うかもしれない怖さ、資金を失うリスク、これまで築いてきた人間関係が変わってしまう可能性、そうした要素が重なり、心は常に揺れ動いています。私自身、起業を決断するまでに6年という長い年月を必要としました。

だからこそ、この段階で関わる側の姿勢はとても重要になります。もしここで「今は厳しいですよ」「資金は準備できますか」といった現実的な条件だけを前面に出してしまうと、もともとあった「楽しみ」は一気に「怖さ」に変わってしまうのです。

■ 「できる・できない」では終わらない関わり

キャリアコンサルタントの役割は、「できる」「できない」を判断することではありません。もちろん制度や制約について正確に伝えることは大前提ですが、それだけで終わってしまっては、相談者の可能性を閉ざしてしまいます。大切なのは、「それではどうするか?」を一緒に考えることです。

・どんな思いで起業を目指しているのか
・何を実現したいのか
・どのくらいの規模を想定しているのか
・これまでにどんな準備や経験をしてきたのか

こうした問いを丁寧に重ねていくことで、単なる「条件の確認」ではなく、「実現を前提とした話し合い」に変わっていきます。そしてその対話の中で、「できない」と思われていたものが、「できるかもしれない」に変わる瞬間が確かに存在します。

■ 可能性を広げる視点を持つ

さらに、キャリアコンサルタントは相談者の視野を広げる存在でもあります。起業というと、「日本で会社を設立する」という一点に視点が固定されがちですが、選択肢はそれだけではありません。

例えば、
・日本で行うのか、母国で行うのか
・対面型のビジネスなのか、オンラインなのか
・家族の支援(資金面・精神面)は得られるのか
・まずは副業としてスモールスタートできないか


こうした視点を提示することで、相談者自身が新しい可能性に気づくことがあります。これは単なる情報提供ではなく、「選択肢を増やす関わり」です。

■ キャリアコンサルタントの存在意義

役所の窓口では、制度に基づいて「できるか、できないか」が明確に示されます。それはとても重要で、必要不可欠な役割です。しかし、キャリアコンサルタントはそこにとどまりません。制度を踏まえたうえで、その人の背景や思いに寄り添い、「どうすれば実現に近づけるか」を一緒に探っていきます。

私は、キャリアコンサルタントとは「100%相談者の可能性を信じて関わる存在」だと思っています。現実を直視しながらも、可能性を閉ざさない。そのバランスを取り続けることこそが、この仕事の本質なのではないでしょうか。