「来たら対応する」で終わっていないか
大学や自治体で提供されている留学生向けの個別カウンセリング。就職・生活・学業に関する不安を相談できる大切な場ですが、実際の利用は多くありません。特に「リピーターが少ない」ことは顕著で、私自身もひしひしと感じています。相談に来る人のほとんどが「初回相談者」なのです。
その理由について、「留学生はやる気がない」「そもそも必要としていないのでは」「カウンセラーの質に問題があるのかもしれない」と考える関係者も少なくないようです。その結果、利用者数が少ないからと窓口を縮小したり、回数を減らしてしまうケースも見られます。
しかし私自身は、問題の本質は「質」や「需要」ではなく、継続して呼びかける仕組みが不足していることにあると感じています。
継続利用のハードル
多くの支援機関は「学生が来れば相談に応じる」というスタンスをとっています。もちろん間違いではありません。しかし留学生にとっては、有料・無料を問わず相談を継続するには心理的なハードルがあります。
初回の面談では、多くの学生が「今すぐ解決したい大きな問題」を持ち込み、解決策を得て安心して帰っていきます。中には大きな一歩を踏み出す人もいます。ところが二回目以降になると、「緊急の困りごとはない」「予約が面倒そう」と感じたり、「無料サービスを自分一人で独占してはいけないのでは」という遠慮が生まれがちです。しかし、学生が相談に行かないから不安がないかとというと、必ずしもそうではありません。常に漠然とした不安や焦りはありますし、それを抱えたまま日常生活を送っていることがほとんどです。専門家に相談することの敷居の高さを感じていることが多いのです。相談となると準備も必要だし、前に相談した内容について、何も行動していない場合には後ろめたさも感じますよね。
粘り強い声かけの力
だからこそ、一度来てくれた学生に対して継続的に声をかけることが重要です。例えば、面談の終了時の声掛け、また、面談から数週間経った時にメールを送るだけで、相談を「単発の場」から「定期的に支援を受けられる流れ」に変えていくことができます。
私自身の体験から
私も自治体の無料相談を利用していた頃、必要な時にだけ足を運ぶ使い方をしていました。緊急の課題がなければ何か月も行かないこともありました。
ところが、ある自治体の窓口では相談の最後に必ず「次の予約はどうしますか?」と聞かれ、数週間後には「そろそろ次の相談を入れませんか?」というメールが届きました。
最初は「今は困っていないのに」と思いましたが、次第に「これは自分の行動のペースを整えてくれているのでは」と気付き、継続して面談を受けるようになりました。結果として、定期的に進捗を報告し改善する習慣が生まれ、同じ相談員との信頼関係も深まりました。
この経験から学んだのは、粘り強い働きかけは「しつこさ」ではなく、行動のリズムを与え、信頼関係を育む力になるということです。大学でのキャリアカウンセリングも同じで、継続的な関わりの中でこそ、学生は安心して本音を語れるようになります。
おわりに
留学生支援の現場では、まだ「来たら対応する」で終わってしまうケースが多いと感じます。しかし利用が少ないのは需要がないからではなく、継続を後押しする仕組みが不足しているからです。
一度訪れた学生に繰り返し声をかけることは簡単ではありませんし、短期的には利益にもつながりません。むしろ学生に嫌がられることもあるでしょう。それでも、学生の行動を支えようと働きかけることは長期的には大きな意味を持ちます。支援機関が学生にどう成長してほしいのか、社会に対してどんな役割を果たしたいのか。その「理念」こそが、この姿勢を支えているのだと思います。

