伝えきれない自己紹介:就職活動で一番もったいない瞬間
最近、自己紹介をしましたか?
留学生向けの就職イベント、企業説明会、キャリアセミナー、大学の授業初日、交流会…。外国人の就職支援に関わっていると、自己紹介をする機会は意外と多いものです。そして私は、そのたびに少しだけ後悔します。
「もっとこう言えばよかった」
「その話も入れたかった」
「今の表現、いまいちだったな…」
自分の後に続く人の自己紹介を聞いていると、さらに思います。
「あ、そんな話し方もあるんだ」
「それ言っていいんだ!むしろ魅力になるんだ!」
でも自己紹介は基本的に“一発勝負”。「次はこうしよう」と決めても、実際は緊張してしまうし、時間も限られています。結局いつも似たような内容を話して終わってしまう。せっかく初対面の人に自分を知ってもらうチャンスなのに、「伝えきれなかった」という気持ちが残るのは、とても残念です。
そしてこの“もったいなさ”は、就職活動ではさらに大きな意味を持ちます。
自己紹介は単なる挨拶ではなく、「この人と話してみたい」「もう少し知りたい」と思ってもらう入口だからです。入口で印象が薄いと、本来つながるはずだったご縁が、その場で止まってしまうこともあります。
「何を話すか」ではなく、「何回話すか」
では、どうすればいいのでしょうか。
多くの人は自己紹介を改善しようとして、「何を話すか」を考えます。
日本語をもっと上手に話す、実績を強く言う、面白いエピソードを入れる…。もちろんそれも大切です。
でも私は、そもそもの問題は別のところにあると思っています。それは、1回の自己紹介では自分の一面しか伝えられないということです。
人にはたくさんの「顔」があります。学生としての顔、サークルでリーダーをしている顔、母国での経験を持つ顔、日本で頑張っている顔…。どれも自分の一部です。だから1分で一つの側面しか話せなければ、「自分が伝わっていない気がする」のは当然なのです。
そしてこれは、話し手だけでなく聞き手にとっても不幸なことです。もし相手が企業の人事担当者なら、その人の魅力を十分に知る前に面接が終わってしまうかもしれません。本来仲間になれたはずなのに、つながるきっかけを逃すかもしれません。
だからこそ私は、「何を話すか」よりも、何回話すかに目を向けています。
面接にも使える「3回の自己紹介」
そこで私が実践しているのが、以前英語の先生に教えてもらった
「3回の自己紹介」という方法です。
やり方はシンプルです。1分の自己紹介を3回行う。そしてルールは一つだけ。
毎回、話題を変えること。
1回目で全部話し切ろうとすると、どうしても薄くなります。あえて“余白”を残し、2回目、3回目で別の角度から自分を見せていくのがポイントです。
1回目:基本情報(安心感のある自己紹介)
多くの人が、国籍・専攻・興味関心などの話をします。就活の場なら、研究テーマや希望職種を簡潔に入れるのも良いでしょう。ここは名刺のような自己紹介です。
2回目:少し広げる(経験や価値観に触れる)
周りの自己紹介を一周聞いた後の2回目は、少しリラックスして話せます。「なぜ日本で働きたいのか」「どんな経験が自分を作ったのか」など、自分らしさが出てきます。
3回目:内面が出る(「実は…」が強みになる)
3回目になると、多くの人が「実は…」と本音に近い話をし始めます。悩み、夢、最近嬉しかったこと、自分が大切にしていること。自己開示に近い状態になります。
不思議なことに、このとき多くの人が一番いい表情をしています。聞いている側も自然と笑顔になり、「もっと話したい」という空気が生まれます。
ここからなら、相手と本音で話すことも難しくありません。
最後に
この方法を特におすすめしたいのは、企業の人事担当者の方です。面接で応募者にチャンスを与えるだけでなく、緊張をほどき、その人の内面を見ることができるからです。結果としてミスマッチも減ります。そして、これから面接を受ける外国人求職者の方は、家で「1分×3回」を練習してみてください。自己紹介が暗記したスピーチではなく、相手とつながる会話に変わっていきます。
自己紹介は、ただの形式ではありません。良い関係を築くための最初の一歩です。ぜひ試してみてください。
この記事は以前に書いたものをリライトしました。

